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放射線治療現場におけるヒヤリハット情報のデータベース化
ヒット: 1 開く 保存
状況
放射線治療現場において、医療スタッフの経験度により対処方法が異なることや、安全監視強化によるスタッフのストレス増大が課題となっていた。
行動
放射線治療に従事する医療スタッフ2名からヒヤリハット報告を収集し、発生時の初期状態、要因、3秒後の状態、改善策を含む経験データベースを作成した。
結果
医療スタッフの主観的な経験値を反映した条件付き確率テーブルを構築し、ベイジアンネットワークを用いた患者リスク算出モデルの基礎データとして活用可能となった。
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詳細コンテキスト
【分析:状況】
放射線治療現場において、医療スタッフの経験度により対処方法が異なることや、安全監視強化によるスタッフのストレス増大が課題となっていた。
【分析:行動】
放射線治療に従事する医療スタッフ2名からヒヤリハット報告を収集し、発生時の初期状態、要因、3秒後の状態、改善策を含む経験データベースを作成した。
【分析:結果】
医療スタッフの主観的な経験値を反映した条件付き確率テーブルを構築し、ベイジアンネットワークを用いた患者リスク算出モデルの基礎データとして活用可能となった。
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【本文】
1. はじめに
現在、医療環境では、安全のために、患者確認に於ける2重チェックや手順の標準化が進められている[1]。しかし、例外的な事象が起きた場合の対応は人の判断に頼らざるを得ず、医療スタッフの経験度により、対処時間や対処方法が異なる。加えて、近年、安全監視強化に伴い医療スタッフの時間的余裕が減少して、ストレスの高い職場となっており、安全監視の自動化が求められている[2]。そこで、本研究は3秒ルールインテリジェンスを用いた医療事故防止用人的感覚を持つ環境監視機能を提案する。3秒ルールインテリジェンスはベイジアンネットワークを使用して、人の時系列的な意思決定の揺らぎの模擬を行う。3秒ルールインテリジェンスは人の判断プロセスに近い判断プロセスで安心感のある判断を目指しており、リアルタイムな画像情報や音声情報に基づいて、人の感覚に近い判断を目指している。しかも、3秒ルールインテリジェンスは人の時間的な意思決定の揺らぎを模擬するため、人の判断に近い判断を行うため、判断の信頼性を向上させることが可能である。そこで、本研究は患者の動作が限定的とされる放射線治療現場への応用を目指して、本手法の有効性や課題を実証的に検証した。
2.様子見行動の自動化に向けて
人は行動選択に当たって、微小時間周期で次に実行可能な行動候補から行動選択を行っている。行動候補は過去の経験と知識を反映する[3][4]。そこで、3秒ルールインテリジェンスでは、まず現状認識を行い、3秒後に実行可能な行動候補を選択して、行動選択確率値があるしきい値を越えた場合に、行動選択の意思決定が実行される。行動選択確率はベイジアンネットワークにより取得する。行動候補の選択確率が変動する過程は、人の意思決定がゆらいでいる状態に対応している。図 1に示す様に3秒ルールインテリジェンスは経験データベース、行動発現確率計算機能(ベイジアンネットワーク)と行動選択機能から構成される。3秒ルールインテリジェンスは行動選択トリガの発現を観察して、発現した行動選択トリガの組み合わせにより現状が認識され、現状認識に従った行動候補の発現確率が計算される。従って、発現が観測された行動選択トリガの種類と組み合わせが行動選択を左右する。行動選択トリガとは行動が選択される直前に出現した環境や行動状況のことであり、行動選択トリガの出現を観察することにより、行動候補が選択され、行動選択の模擬が可能となる。
図 1 3秒ルールインテリジェンス
3.患者の様子見行動の実現にむけて
3.1 研究手法
本研究で観察する行動選択トリガは図2に示す通り、医療スタッフのスキル、治療内容の特殊性、患者の状態、医療スタッフの業務ストレスの状態であり、ベイジアンネットワークの各子ノードに対応する。一方、ベイジアンネットワークの親ノードは患者支援行動の発現確率を示す。患者対応行動には患者の観察、様子見と患者支援行動がある。患者支援行動には声掛けにつづいて、患者補助行動がある。本研究では、患者様子見と患者支援行動の間にはある敷居値があり、患者支援行動の発現確率を患者リスクと定義して、患者リスクがある敷居値を超えると患者支援行動が発現されるとする。本研究における、経験データベースは放射線治療に従事する医療スタッフ2名のヒヤリハット報告に基づいて作成した(図 1参照)。経験データベースは現在状況と状況に関する状態遷移情報を持ち、ヒヤリハット発生時の初期状態、発生要因、3秒後の状態、考えられる改善策を含む。作成した経験データベース中のヒヤリハット情報の例を図3に示す。
図 2ベイジアンネットワークのノード
図3 作成したヒヤリハット情報の例(一部)
本研究の子ノードに設定した条件付き確率テーブルの設定値も医療スタッフからのヒアリングによる医療スタッフの主観的な値であり、医療スタッフの経験値を反映している。3秒ルールインテリジェンスは行動選択トリガを元に患者と環境情報を観察して、算出した患者リスクがあるしきい値を超えた場合に患者支援行動実施の意思決定を行う。
3.2 患者リスクの算出
本研究では行動選択トリガの発現を観察することにより患者支援の必要性を観察する。表1に患者を取り巻く環境要因の例を示す。本研究では行動選択トリガをベイジアンネットワークの子ノードに設定して、患者リスクを算出する。そして本研究は算出した患者リスクを患者への支援の必要性と定義して、患者リスクの上昇と患者への支援の必要性を観察する。
表 1 患者を取り巻く環境要因
3. 3 患者支援行動の発現
患者様子見では患者支援行動に先立って発現する行動選択トリガを観察する。行動選択トリガの発現度合いにより患者リスクが上昇して患者支援行動が実行される。図4は縦軸が患者リスク、横軸が時間を表し、医療スタッフが患者リスクを観察している状況を示している。本研究では患者リスクを患者支援行動の必要度合いと定義して患者支援行動の必要性を求める。図4に示す患者リスクは患者支援行動発現確率である。本研究では患者リスク値をΔt 毎に再計算して、行動選択トリガの変化に伴う患者リスク値が、あるしきい値を越えた場合には患者への支援行動が必要と判断する。本研究ではΔtは3秒である[5]。図4に示す安全範囲とは、患者の観察が不要な状況であり、患者が検査に行くなどして、患者が治療室にいない場合である。そして、患者が治療室内に入ると患者様子見となり、患者の観察が必要となる。更に、患者リスクが図4に示す支援必要な領域に入ると患者への支援が必要となる。図4中の患者A1は治療室に入ると患者様子見対象患者のA2となり、更に次の観察時間のΔt中に行動選択トリガである、ふらつきが観察されると患者支援行動が必要なA3の状態となり、声掛け等の患者支援行動が実行される。一方、患者B1は一旦、患者様子見の対象であるB2となった後、観察時間であるΔt間に行動選択トリガが観察されず、更に検査に行くなどして、治療室を退出すると、患者リスクが安全範囲内に入りB3の状態となり、医療スタッフによる患者観察は不要な状況となる。図5に示すベイジアンネットワークの要素は表1の通りである。表2と表3はベイジアンネットワークの各ノードに設定した条件付き確率テーブルの値を示す。図5にWeka(Waikato Environment For Knowledge Analysis)を使用したベイジアンネットワークを示す。図5の医療スタッフのスキル(SKIL)の初期値のHighは 0.4、Standardが0.25、Lowが0.35である。図5の同値は0.399と表示されている。図5のSKILのHigh 値である0.4の具体的な計算要領を以下に示す。この時の患者リスク(RISK)の初期値はTREATとWATCH共に0.5である。TREAT は患者への支援行動の発現確率であり、本研究では患者支援の必要性と定義している。WATCHは 患者様子見行動の発現確率である。
0. 5 (TREAT) ×0.1 (支援必要:High) = 0.05
0. 5 (WATCH) ×0.7 (支援不要:High) = 0.35
0.05 + 0.35 = 0.4 (High)
図 4 患者リスク観察と行動判断状況
表2 患者支援行動モデルの例親テーブル(RISK)
表3 スタッフのスキル(SKIL)の条件付き確率
図5患者リスク算出ベイジアンネットワーク
図6患者(PAT)に悪いエビデンス(Low)を設定
そして、患者の蛇行(ふらつき)が検知されると、ベイジアンネットワークのPATにLowに設定され、図6に示す通り、患者リスク値(RISK)のTREATが0.83となり、しきい値が0.7の場合、しきい値を越えたので、患者への支援が必要との意思決定がなされる。
3. 4 患者支援行動選択の自動化
本研究はエビデンスの自動取得を目指して、更にベイジアンネットワークの細分化を行った。図7に患者の歩行(walk)が確認された場合のPAT(患者状態)のリスクを算出するベイジアンネットワークを示す。各ノードの説明を表4に示す、ここで、患者のふらつきが検知されると図8のベイジアンネットワークに示す様に患者の状況(PAT)が0.53となり、患者リスクが増加する。
表4 ベイジアンネットワークのノードの説明
図7 患者の状態(PAT)算出用ベイジアンネットワーク(患者の歩行確認)
図8 患者の状態(PAT)算出用ベイジアンネットワーク(患者のふらつき確認
4. まとめ
本研究は患者支援行動の自動化を目指して、試行を行った。試行の結果、行動選択トリガを細分化することにより行動選択トリガの自動検知の可能性を示した。今後、患者様子見の自動化を実現するためには環境情報と患者情報の自動取得を進めることが必要である。患者基本情報は医療システムから受信することが可能であり、ふらつき等の患者状況はカメラからの自動取得が可能である。今後、更なる行動選択トリガの細分化により、患者支援行動の自動化が期待できる。
謝辞
本研究はJSPS科研費 基盤研究(C) 20K11983の助成を受けた。更に本研究に助言と貴重な情報を頂いた広島国際大学 保健医療学部 診療放射線学科の橘昌幸教授と九州大学病院 医療技術部 放射線部門の福永淳一先生に感謝申し上げる。
参考文献
[1]持田 信治, 池添 律代,矢鳴 虎夫,バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 6 巻 1 号、10-16、2004
[2] 持田 信治,橘 昌幸:人の観点から見た環境評価に関する研究,BMFSA学会誌 VOL11 (2), pp. 25‐31.
[3]リンゼイ/ノーマン:情報処理心理学入門Ⅲ(言語と思考), サイエンス社, 1984.
[4]甘利 俊一(監修),田中 啓治(編):認識と行動
[5] 山下昇:車間距離より車間時間を取ろう,セイフティエクスプレス企業開発センター, 6月号, 2008.
3秒ルールインテリジェンスによる患者支援行動の自動化検証
ヒット: 1 開く 保存
状況
患者のふらつき等の行動選択トリガを検知し、適切なタイミングで支援を行う必要があった。
行動
ベイジアンネットワークを用いて患者リスクをΔt=3秒ごとに再計算し、リスク値がしきい値(0.7)を超えた場合に患者支援行動が必要と判断するモデルを構築した。
結果
患者のふらつき(蛇行)が検知された際、患者リスク(TREAT)が0.83まで上昇し、しきい値を超えたことで自動的に支援が必要であるとの意思決定が行われることを実証した。
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詳細コンテキスト
【分析:状況】
患者のふらつき等の行動選択トリガを検知し、適切なタイミングで支援を行う必要があった。
【分析:行動】
ベイジアンネットワークを用いて患者リスクをΔt=3秒ごとに再計算し、リスク値がしきい値(0.7)を超えた場合に患者支援行動が必要と判断するモデルを構築した。
【分析:結果】
患者のふらつき(蛇行)が検知された際、患者リスク(TREAT)が0.83まで上昇し、しきい値を超えたことで自動的に支援が必要であるとの意思決定が行われることを実証した。
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【本文】
1. はじめに
現在、医療環境では、安全のために、患者確認に於ける2重チェックや手順の標準化が進められている[1]。しかし、例外的な事象が起きた場合の対応は人の判断に頼らざるを得ず、医療スタッフの経験度により、対処時間や対処方法が異なる。加えて、近年、安全監視強化に伴い医療スタッフの時間的余裕が減少して、ストレスの高い職場となっており、安全監視の自動化が求められている[2]。そこで、本研究は3秒ルールインテリジェンスを用いた医療事故防止用人的感覚を持つ環境監視機能を提案する。3秒ルールインテリジェンスはベイジアンネットワークを使用して、人の時系列的な意思決定の揺らぎの模擬を行う。3秒ルールインテリジェンスは人の判断プロセスに近い判断プロセスで安心感のある判断を目指しており、リアルタイムな画像情報や音声情報に基づいて、人の感覚に近い判断を目指している。しかも、3秒ルールインテリジェンスは人の時間的な意思決定の揺らぎを模擬するため、人の判断に近い判断を行うため、判断の信頼性を向上させることが可能である。そこで、本研究は患者の動作が限定的とされる放射線治療現場への応用を目指して、本手法の有効性や課題を実証的に検証した。
2.様子見行動の自動化に向けて
人は行動選択に当たって、微小時間周期で次に実行可能な行動候補から行動選択を行っている。行動候補は過去の経験と知識を反映する[3][4]。そこで、3秒ルールインテリジェンスでは、まず現状認識を行い、3秒後に実行可能な行動候補を選択して、行動選択確率値があるしきい値を越えた場合に、行動選択の意思決定が実行される。行動選択確率はベイジアンネットワークにより取得する。行動候補の選択確率が変動する過程は、人の意思決定がゆらいでいる状態に対応している。図 1に示す様に3秒ルールインテリジェンスは経験データベース、行動発現確率計算機能(ベイジアンネットワーク)と行動選択機能から構成される。3秒ルールインテリジェンスは行動選択トリガの発現を観察して、発現した行動選択トリガの組み合わせにより現状が認識され、現状認識に従った行動候補の発現確率が計算される。従って、発現が観測された行動選択トリガの種類と組み合わせが行動選択を左右する。行動選択トリガとは行動が選択される直前に出現した環境や行動状況のことであり、行動選択トリガの出現を観察することにより、行動候補が選択され、行動選択の模擬が可能となる。
図 1 3秒ルールインテリジェンス
3.患者の様子見行動の実現にむけて
3.1 研究手法
本研究で観察する行動選択トリガは図2に示す通り、医療スタッフのスキル、治療内容の特殊性、患者の状態、医療スタッフの業務ストレスの状態であり、ベイジアンネットワークの各子ノードに対応する。一方、ベイジアンネットワークの親ノードは患者支援行動の発現確率を示す。患者対応行動には患者の観察、様子見と患者支援行動がある。患者支援行動には声掛けにつづいて、患者補助行動がある。本研究では、患者様子見と患者支援行動の間にはある敷居値があり、患者支援行動の発現確率を患者リスクと定義して、患者リスクがある敷居値を超えると患者支援行動が発現されるとする。本研究における、経験データベースは放射線治療に従事する医療スタッフ2名のヒヤリハット報告に基づいて作成した(図 1参照)。経験データベースは現在状況と状況に関する状態遷移情報を持ち、ヒヤリハット発生時の初期状態、発生要因、3秒後の状態、考えられる改善策を含む。作成した経験データベース中のヒヤリハット情報の例を図3に示す。
図 2ベイジアンネットワークのノード
図3 作成したヒヤリハット情報の例(一部)
本研究の子ノードに設定した条件付き確率テーブルの設定値も医療スタッフからのヒアリングによる医療スタッフの主観的な値であり、医療スタッフの経験値を反映している。3秒ルールインテリジェンスは行動選択トリガを元に患者と環境情報を観察して、算出した患者リスクがあるしきい値を超えた場合に患者支援行動実施の意思決定を行う。
3.2 患者リスクの算出
本研究では行動選択トリガの発現を観察することにより患者支援の必要性を観察する。表1に患者を取り巻く環境要因の例を示す。本研究では行動選択トリガをベイジアンネットワークの子ノードに設定して、患者リスクを算出する。そして本研究は算出した患者リスクを患者への支援の必要性と定義して、患者リスクの上昇と患者への支援の必要性を観察する。
表 1 患者を取り巻く環境要因
3. 3 患者支援行動の発現
患者様子見では患者支援行動に先立って発現する行動選択トリガを観察する。行動選択トリガの発現度合いにより患者リスクが上昇して患者支援行動が実行される。図4は縦軸が患者リスク、横軸が時間を表し、医療スタッフが患者リスクを観察している状況を示している。本研究では患者リスクを患者支援行動の必要度合いと定義して患者支援行動の必要性を求める。図4に示す患者リスクは患者支援行動発現確率である。本研究では患者リスク値をΔt 毎に再計算して、行動選択トリガの変化に伴う患者リスク値が、あるしきい値を越えた場合には患者への支援行動が必要と判断する。本研究ではΔtは3秒である[5]。図4に示す安全範囲とは、患者の観察が不要な状況であり、患者が検査に行くなどして、患者が治療室にいない場合である。そして、患者が治療室内に入ると患者様子見となり、患者の観察が必要となる。更に、患者リスクが図4に示す支援必要な領域に入ると患者への支援が必要となる。図4中の患者A1は治療室に入ると患者様子見対象患者のA2となり、更に次の観察時間のΔt中に行動選択トリガである、ふらつきが観察されると患者支援行動が必要なA3の状態となり、声掛け等の患者支援行動が実行される。一方、患者B1は一旦、患者様子見の対象であるB2となった後、観察時間であるΔt間に行動選択トリガが観察されず、更に検査に行くなどして、治療室を退出すると、患者リスクが安全範囲内に入りB3の状態となり、医療スタッフによる患者観察は不要な状況となる。図5に示すベイジアンネットワークの要素は表1の通りである。表2と表3はベイジアンネットワークの各ノードに設定した条件付き確率テーブルの値を示す。図5にWeka(Waikato Environment For Knowledge Analysis)を使用したベイジアンネットワークを示す。図5の医療スタッフのスキル(SKIL)の初期値のHighは 0.4、Standardが0.25、Lowが0.35である。図5の同値は0.399と表示されている。図5のSKILのHigh 値である0.4の具体的な計算要領を以下に示す。この時の患者リスク(RISK)の初期値はTREATとWATCH共に0.5である。TREAT は患者への支援行動の発現確率であり、本研究では患者支援の必要性と定義している。WATCHは 患者様子見行動の発現確率である。
0. 5 (TREAT) ×0.1 (支援必要:High) = 0.05
0. 5 (WATCH) ×0.7 (支援不要:High) = 0.35
0.05 + 0.35 = 0.4 (High)
図 4 患者リスク観察と行動判断状況
表2 患者支援行動モデルの例親テーブル(RISK)
表3 スタッフのスキル(SKIL)の条件付き確率
図5患者リスク算出ベイジアンネットワーク
図6患者(PAT)に悪いエビデンス(Low)を設定
そして、患者の蛇行(ふらつき)が検知されると、ベイジアンネットワークのPATにLowに設定され、図6に示す通り、患者リスク値(RISK)のTREATが0.83となり、しきい値が0.7の場合、しきい値を越えたので、患者への支援が必要との意思決定がなされる。
3. 4 患者支援行動選択の自動化
本研究はエビデンスの自動取得を目指して、更にベイジアンネットワークの細分化を行った。図7に患者の歩行(walk)が確認された場合のPAT(患者状態)のリスクを算出するベイジアンネットワークを示す。各ノードの説明を表4に示す、ここで、患者のふらつきが検知されると図8のベイジアンネットワークに示す様に患者の状況(PAT)が0.53となり、患者リスクが増加する。
表4 ベイジアンネットワークのノードの説明
図7 患者の状態(PAT)算出用ベイジアンネットワーク(患者の歩行確認)
図8 患者の状態(PAT)算出用ベイジアンネットワーク(患者のふらつき確認
4. まとめ
本研究は患者支援行動の自動化を目指して、試行を行った。試行の結果、行動選択トリガを細分化することにより行動選択トリガの自動検知の可能性を示した。今後、患者様子見の自動化を実現するためには環境情報と患者情報の自動取得を進めることが必要である。患者基本情報は医療システムから受信することが可能であり、ふらつき等の患者状況はカメラからの自動取得が可能である。今後、更なる行動選択トリガの細分化により、患者支援行動の自動化が期待できる。
謝辞
本研究はJSPS科研費 基盤研究(C) 20K11983の助成を受けた。更に本研究に助言と貴重な情報を頂いた広島国際大学 保健医療学部 診療放射線学科の橘昌幸教授と九州大学病院 医療技術部 放射線部門の福永淳一先生に感謝申し上げる。
参考文献
[1]持田 信治, 池添 律代,矢鳴 虎夫,バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 6 巻 1 号、10-16、2004
[2] 持田 信治,橘 昌幸:人の観点から見た環境評価に関する研究,BMFSA学会誌 VOL11 (2), pp. 25‐31.
[3]リンゼイ/ノーマン:情報処理心理学入門Ⅲ(言語と思考), サイエンス社, 1984.
[4]甘利 俊一(監修),田中 啓治(編):認識と行動
[5] 山下昇:車間距離より車間時間を取ろう,セイフティエクスプレス企業開発センター, 6月号, 2008.
放射線治療現場における患者様子見行動の自動化
ヒット: 1 開く 保存
状況
医療現場において、患者の安全監視や記録業務の増加によりスタッフの負担が増大し、例外的な事象への対応が熟練スタッフの判断に依存している。
行動
「3秒ルールインテリジェンス」を導入し、ベイジアンネットワークを用いて患者リスクを算出し、しきい値を超えた場合に患者への支援行動を決定するシステムを構築した。
結果
医療スタッフの判断に近いプロセスで患者支援の意思決定が可能となり、患者様子見行動の自動化と業務軽減の可能性が示された。
詳細 (BODY) を表示
詳細コンテキスト
【分析:状況】
医療現場において、患者の安全監視や記録業務の増加によりスタッフの負担が増大し、例外的な事象への対応が熟練スタッフの判断に依存している。
【分析:行動】
「3秒ルールインテリジェンス」を導入し、ベイジアンネットワークを用いて患者リスクを算出し、しきい値を超えた場合に患者への支援行動を決定するシステムを構築した。
【分析:結果】
医療スタッフの判断に近いプロセスで患者支援の意思決定が可能となり、患者様子見行動の自動化と業務軽減の可能性が示された。
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【本文】
1. 研究目的
本研究は人を支援できるマルチモーダルAIを提案する。マルチモーダルAIは環境条件と目的に沿って自律的に意思決定のできるAIであり、経験情報に基づく判断を行う。人の経験情報は様々な属性のデータと情報から構成される。特に人の経験は目的と意思決定に伴う結果を持つ。人は過去の経験から意思決定に伴う結果を評価を行い、意思決定を行う。従って意思決定には判断、行動と結果の評価が必要である。マルチモーダルAIの実現に向けてはまず、マルチモーダルデータを扱うデータベースの実現が必要であり、マルチモーダルデータとは音声、画像、テキストと各種環境情報である。現在、多くの場面でのAI(人工知能)利用が進んでいる。しかし、多くの人工知能では意思決定の根拠を明確に示すことができず、信頼できる人工知能となっていない。そこで、意思決定の根拠を明確に示すことができる汎用人工知能(GAI: General Artificial Intelligence)の実現が求められている。しかし、人の意思決定は必ずしも論理的に行われている訳ではなく、人の意思決定は環境の変化と時間の推移に従い、ゆらいでおり、信頼できる人工知能は人の意思決定の揺らぎを理解することが求められる。そこで、本研究は3秒ルールインテリジェンスによる意思決定支援を試みた。3秒ルールインテリジェンスは現在状況を理解して、微小時間後の状況を予測して意思決定を行う人工知能であり、微小時間後の行動候補の出現確率を算出して、行動候補の出現確率を行動選択確率と定義して意思決定を行う。
本研究での微小時間とは3秒である。行動候補の出現確率の算出はベイジアンネットワークにより行う。ベイジアンネットワークは、子ノードの条件付き確率テーブルに確率値を設定することにより、親ノードが示す事象の発現確率を算出する。ベイジアンネットワークは信念ネットワークとも呼ばれ、条件付き確率テーブル上の確率値を主観的に設定することにより、人の主観を確率値として計算に反映可能である。ベイジアンネットワークでは事実が観察される度にエビデンスが設定され、確率計算が再実行されるため、確率値の初期値は曖昧でも構わない。3秒ルールインテリジェンスは環境変化に伴い、事実が観察される度に行動の選択確率の再計算を行う。そして、行動選択確率があるしきい値を越えた場合に、行動選択の意思決定を行う。本研究での意思決定とは患者への支援行動を行うか保留するかである。一方、人の意思決定の揺らぎは人の価値観の揺らぎに起因しているため、3秒ルールインテリジェンスの更なる展開は人の価値観の揺らぎのメカニズム解明につながる。そこで、本研究は3秒ルールインテリジェンスの医療分野への適応を試みた結果、3秒ルールインテリジェンスによる医療スタッフの意思決定の模擬の可能性を示した。具体的には、ベイジアンネットワークにより算出された確率値を患者リスクと見なし、患者リスクがあるしきい値を越えると、3秒ルールインテリジェンスは患者への支援行動選択の意思決定を示し、意思決定は医療スタッフの判断に近いものであった。人工知能が人の意思決定の揺らぎを理解できれば、信頼できる人工知能が実現する。
2. 患者様子見の自動化
現在、医療現場では、患者確認に於けるダブルチェックや手順の標準化が進められている[1]。しかし、例外的な事象が起きた場合の対応は人の判断に頼らざるを得ず、高度な判断できる熟練医療スタッフが求められている。加えて、医療現場では近年、安全監視と記録業務が増加しており、医療スタッフの時間的余裕が減少して、ストレスの高い職場となっている。そこで、本研究は3秒ルールインテリジェンスによる放射線治療現場に於ける患者様子見行動の自動化を目指す[2]。患者への様子見行動とは不安定な患者の事故防止のための、医療スタッフによる患者観察行動であり、様子見行動はスタッフがある一定時間、患者への対応行動を保留して、患者リスクの発現を観察する行動である。患者リスクとは患者に関する事故発現等で、患者治療の障害となる要因である。患者様子見行動は患者が治療室に移動する場合や、治療中に行われる。治療中は患者の動作が限定的であるため、人工知能が患者を観察できれば、スタッフの業務軽減が図れる。更に治療室内での患者観察を自動化できれば、スタッフは次の業務の準備作業等が可能となり業務に余裕が生まれ、安全な医療が実現する。患者様子見行動は患者を含む状況判断とスタッフの経験により行われるため、患者様子見行動の自動化には人工知能への人の経験の反映が必要である。
3. 3秒ルールインテリジェンス
3.1 人の応答速度と行動選択
3秒ルールインテリジェンスは、人と同じプロセスで意思決定を行う人工知能であり、人の脳で行われる意思決定を模擬する。人の大脳内には神経細胞(ニューロン)が約100億個あり、脳全体の神経細胞は1000億個あるとされる[3]。神経細胞は核と樹状突起と信号伝送路に当たる軸索から構成され、樹状突起は信号入力をつかさどる受容体を持つ(図 1参照)。神経細胞間の信号伝達はシナプス間隙において行われており、1つの神経細胞は数千以上のシナプスを持つとされる。シナプスとは神経細胞同士の接続部分のことであり、特定の信号がシナプス前部に積み重なるとシナプスに於いて信号伝達が行われる。シナプス間隙上の信号伝達は科学物資の量と組み合わせで表現されるため、各シナプスは高度な情報処理を行っていると考えられる。シナプスは人では10兆個あるとされ、10兆個のシナプスの結合により経験が記録され、外部刺激により状況判断と行動発現がなされる[4]-[7]。ニューロン内の伝達速度は概ね、1m/秒から100m/秒である。一方、最近のCPU(中央処理演算装置)は約100億程度のトランジスタ(7nm製造プロセスの場合)で構成され、3Ghz(1秒間に30億回の振動数)程度で動作する[8]。人の神経細胞の動作速度はCPUに比べて低速であるにも拘わらず、人が高度な行動選択できる理由は、脳は並列に状況判断を行い、微小時間後に実行可能な行動候補を用意しているからであると考えられる[9][10]。本研究では、微小時間を3秒とする。従って、慣れた行動は3秒以内に行動候補として直ちに用意されるのに対して、不慣れな行動候補は遅れて用意されるため、行動の慣れが発生する。そして優先順位が均衡する複数の行動候補が並列に用意されている状態が迷いであり、遅れて行動候補が準備され、行動選択が混乱する状態が後悔である。
図 1 神経細胞
3.2 人の行動予測と3秒ルールインテリジェンス
人は行動選択に当たって、微小時間周期で次に実行可能な行動候補を選び出して、行動選択を行っており、行動候補は過去の経験と知識から選択される[9][10]。本研究での微小時間は3秒である。そこで、3秒ルールインテリジェンスは3秒後に実行可能な行動候補を人の経験から収集することにより、人と同じプロセスによる行動選択が実現する。3秒ルールインテリジェンスは経験データベース、行動選択トリガデータベース,行動出現確率計算(ベイジアンネットワーク)から構成される(図 2参照)。3秒ルールインテリジェンスは3秒後に実行可能な行動候補の準備を行い、行動選択トリガの観察により行動選択を行う。行動選択トリガとは環境情報を心理的次元で配置したものの中で最優先位置にあるものであり、行動選択を左右する要因である[9]。心理的な重み付けをした行動選択トリガ観察は行動の概念駆動型処理を可能とする[10]。3秒ルールインテリジェンスは経験データベースから現状認識による情報を検索キーにして、3秒後に実行可能な行動候補を準備する。そして、ベイジアンネットワークにより、3秒後に実行可能な行動候補の優先順位を決定する。経験データベースは現在状況と行動実行による3秒後の状態から構成される遷移情報を持つ(図 3参照)。本研究では遷移情報をヒヤリハット報告やインシデントレポートから収集した。遷移情報は初期状況情報と3秒後の遷移情報を持ち、3秒間は人の行動選択の周期である。例えば、車両運行に於いて、人は3秒周期で、現在から3秒後までの遷移空間を構築することにより、運転操作における事故回避を行っている(図 4参照)。
図 2 3秒ルールインテリジェンスの構成
図 3 3秒間の遷移空間
図 4 運転操作における遷移空間
3.3 人の行動予測と3秒ルールインテリジェンス
人が、直ぐに行動判断ができるのは、人は微小時間後に到達可能な遷移空間を事前に構築して状況予測を行いながら、行動選択を行っているからである[11]。微小時間とは3秒である。例えば、車両運転に於いて、先行車との安全な推奨車間距は速度計の示す値から15を減じた距離である、例えば、時速60km/h の場合の推奨車間距は45mである。時速60km/hの車の速度は約17m/秒であるため、45m/17m≒3秒となり、推奨される車間距離を時間的に表すと約3秒となる[12]。一方、車両運転に於ける安全な車間距離を時間で表すと、2秒から3秒と言われており、車間距離が1.8秒を切ると人は不安を感じると言われている[13]。また、報告者のビジネスシステム開発の経験から、エンターキーを押した後のシステム応答時間が3秒以内であればシステム利用者は概ね良好な操作感を得る。しかしシステム応答時間が5秒を超えるとシステム利用者は不満を感じ、システム応答時間が10秒を超えるとシステム利用者はシステムに対する改善を要求するという状況からも、人は現時点から3秒後までの行動予測空間を構築しており、行動予測空間内で状況が進む場合には安心感を得ることができ、3秒後の状況が不確実になると不安やいらつきを感じる。従って、人は現時点から3秒後までの行動遷移空間を持って行動をしていると判断できる。
4.ベイジアンネットワークを用いた事象分析
ベイジアンネットワークとはある事象(親)と事象に関係する要因(子)との因果関係を有効グラフで表現したものであり、ベイジアンネットワークは親ノードと子ノードの因果関係を確率的な関係で表現しており、ベイジアンネットワークの親ノードは親(世界)が取りうる状況が発現する確率を表す。ベイジアンネットワークは信念ネットワークとも呼ばれ、条件付き確率テーブル上の確率値を主観的に設定することにより、人の主観を確率計算に反映できる。従って、条件付き確率テーブルに設定する確率値を主観的に設定することにより、ベイジアンネットワークは不確実な状況を表現することが可能である。そして子ノードの条件が確定することにより、親(世界)が取りうる状況の確率が計算される。子ノードの条件が確定することを、エビデンスをセットすると呼び、事実や状況が判明した場合には、子ノードにエビデンスが設定され、子ノードが親ノードに与える確率が決定する。以下にベイジアンネットワークを用いた計算例を示す。本例はプロジェクトが計画通りに終了する確率計算の例を示す。本例では条件付き確率とベイズ推定の式(1)を使用してプロジクトリスクを推定する。プロジクトリスクとは、プロジェクトが計画通りに終了しない確率、つまりプロジェクトの遅延確率である。以降、プロジェクトリスクとはプロジェクトの遅延確率であるとする。プロジェクトの遅延が発生すると費用超過や契約違反となり、費用的な損害が発生する。
A:親(世界)が取りうる状況に対する確率  
B:子供(世界を説明する条件)を示す確率
本例ではプロジェクトが計画通りに終了する確率とスタッフからのプロジェクトの進捗に関するレポートの信頼性との関係を考える、プロジェクトが​計画通りに終了する確率をA、そしてスタッフからの進捗に関するレポートの信頼性を示す確率をBとする。ここで、A=0.9、B=0.7とすると、プロジェクトが実行される世界の確率状況は図 5となる。ベイジアンネットワークはある事象が取りうる世界の確率的関係を示し、エビデンスが設定されると世界が変化する。
図 5 報告を受ける前の世界確率の図
次に機械学習システムのWeka (Waikato Environment for Knowledge Analysis) [14]を使用してプロジェクトが実行される世界の確率状況を表現した様子を図 6に示す。図 6、図 7と表 1、表 2はWeka上のProjectノードとReportノードに確率を与えている様子を示す。一般的にプロジェクトは10%程度遅延することが知られているため、表 1と図 6に示す様にプロジェクトが計画通り終わる確率は0.9に設定している。ただし、Wekaのベイジアンネットワーク表示では確率0.9は9000、そして確率0.7は6599と表示されている。
表 1 Weka上のProjectノードの条件付き確率
表 2 Weka上のReportノードの条件付き確率
図 6プロジェクトのベイジアンネットワーク表示
図 7 ProjectとReportノードの条件付き確率テーブルに確率値を与えている様子
次に、表 3と図 8はスタッフによりプロジェクトの進捗は計画通りと報告された後のプロジェクトの実行世界を示しており、Aの確率は式(2)に示す通り0.95となる。図 9はWekaで確率を計算した様子を示す。本例でのエビデンスはスタッフによるプロジェクトの進捗は計画通りとの報告である。ベイジアン推定ではエビデンスと呼ばれる状況報告が与えられることにより、確率世界が変化する。
表 3 報告を受けた後の世界確率(抹消線の世界が削除された状態)
図 8報告を受けた後の世界確率の図
(網掛けの部分の世界が消えた)
(2)
図 9 報告を受けた後のベイジアンネットワーク表示
5. 患者様子見行動と患者対応行動の発現
5.1患者リスクの評価
医療現場では、安全のために患者確認に於ける2重チェックや手順の標準化が進められている[15]。しかし、例外的な事象が起きた場合の対応は人の判断に頼らざるを得ず、熟練医療スタッフの経験に基づく対処が求められる。そこで、本研究は熟練医療スタッフに近い状況判断機能の実現を目指して、3秒ルールインテリジェンスを放射線治療現場に応用した。表 4に放射線治療における環境要因と内容を示す。環境要因は医療スタッフからのヒアリングにより取得した。本研究では、ベイジアンネットワークにより算出した患者リスクにより、状況判断を行う。本研究では患者リスクとは患者に拘わる事故発生確率と定義して、患者リスクを患者への支援の必要性とみなす。従って、患者リスクが上昇すると患者への支援必要性が上昇することとなり、患者支援の必要性があるしきい値を越えると患者への支援が必要であるとの意思決定を行う。放射線治療装置は治療を行う機械であり、今後、治療環境に関する情報の取得を機械信号として取得することが可能であり、取得情報の精度向上が期待できる。
表 4 患者を取り巻く環境要因
5.2 患者対応行動の発現
患者への様子見行動とは不安定な患者の事故防止のための、医療スタッフによる患者観察行動のことである。図 10は医療スタッフが患者リスクを観察している状況を示しており、縦軸は患者リスクを示し、横軸は時間軸である。図 10に示す、患者が安全範囲の領域にある場合には、医療スタッフは患者を観察する必要のない状況であることを示し、例えば患者が検査に行っている状態である。次に患者が様子見状態にある場合には医療スタッフが患者を観察する必要がある状況であり、例えば患者が治療室内にいる状況である。そして、患者が支援必要の領域に入った場合には、患者リスクが高い状況であり、患者への支援が必要となる。例えば患者への支援行動として、患者への声掛けや治療中断がある。様子見行動は医療スタッフが患者への対応行動を保留して患者の様子を観察する行動であり、人工知能が患者を観察できれば、医療スタッフの業務軽減が図れる。そこで、本研究は医療スタッフの患者への様子見行動の模擬を目指して、3秒ルールインテリジェンスの放射線治療への適応を試みた。ベイジアンネットワークの親ノードが示す確率値は医療スタッフ経験に基づく患者リスク値を示している。本研究では、ベイジアンネットワークにより算出された患者リスク値は3秒後の患者支援行動の必要度合いを示しており、環境要因の変化に従い、ベイジアンネットワークの再計算を実行する。ベイジアンネットワークが示す患者リスクは患者支援行動の必要度合いを示し、患者支援行動の必要度合いがあるしきい値を越えた場合には患者への支援行動が必要となる。図 11に本研究で設定したベイジアンネットワークを示す。図 11中の略称は表 4の通りであり、表 5から表 9はベイジアンネットワークの各ノードに設定した条件付き確率テーブルの値を示している。本研究において、3秒ルールインテリジェンスに与えたベイジアンネットワークの条件付き確率テーブルの設定は医療スタッフへのヒアリングに基づいていており、医療スタッフの経験値を反映している。図 11に示す通り、患者の支援が必要と支援不要の初期値は共に0.5である。そして、図 11が示す確率値の計算要領を図 12に示す。例えば、図 11のSKILのHigh値は0.4であり、計算要領は以下の通りである。
0.5(TREAT)×0.1(支援必要 High)=0.05
0.5(WATCH)×0.7(支援不要 High)=0.35
0.05+0.35=0.4 SKIL(High)
但し、図 11の同値は0.399と表示されている。
図 10 状況判断
図 11 患者リスク(RISK)算出ベイジアンネットワーク
表 5 患者支援モデルのテーブル例
親テーブル(RISK)
表 6 条件付き確率テーブル(SKIL)
表 7 条件付き確率テーブル(PAT)
表 8 条件付き確率テーブル(METH)
表 9 条件付き確率テーブル(ENV)
図 12 ベイジアンネットワークの計算例
5.3環境評価試験
 3秒ルールインテリジェンスの経験データベースは経験ルールを持ち、経験ルールはヒヤリハット情報から収集した。経験ルールは3秒間の時間的状態遷移に伴う初期状態と3秒後の後状態と発現した発生事象を持つ(図 13参照)。更に経験ルールには行動選択トリガが記述されている(表 10参照)。行動選択トリガとは環境変化を検知するための情報である。環境監視下で、行動選択トリガが検知されると該当する経験ルールが選択され、ベイジアンネットワーク中の指定された要素にエビデンスが設定される。
図 13 ヒヤリハットデータ(一部)
例えば患者の蛇行(ふらつき)が検知された場合には、患者状態が悪いことを示すエビデンスがベイジアンネットワークに設定される(図 14、図 15参照)。具体的には、患者リスク値(RISK)の初期値は図 14の通り、0.5であり、患者への支援必要性は不明であることを示している。そして患者の蛇行(ふらつき)が検知されると、患者の状態が悪いことを示すエビデンスがベイジアンネットワークに設定され、患者リスク値が0.83となり、患者への支援が必要なしきい値が0.7であるとすると、患者への支援が必要との意思決定がなされる(図 15参照)。
表 10 エビデンス設定時のトリガ情報
図 14 初期状態のRISK算出ベイジアンネットワーク
図 15 患者(PAT)が悪い(LOW)エビデンスの設定後
5.3.環境の評価の自動化
 3秒ルールインテリジェンスを用いた患者様子見行動の自動化のためにはエビデンスの自動設定が必要である。そこで本研究では図 11に示す各要素の確率値を更に計算するための表 11に示す様にベイジアンネットワークを設定した。表 11に示す様に確率算出のための要素を細分化することにより、自動的にエビデンスを設定することが可能となる。例えば、患者状態(PAT)を算出する1つの要素の患者搬送状態(Trsus)が取る、歩行か、車椅子かストレッチャーかは自動的に設定できる。
表 11 各要素に確率値を与えるベイジアンネットワークのテーブル構造
例えば、表 11中の患者の状態算出用テーブル(PAT)の確率値を算出するベイジアンネットワークを図 16に示す。そして、患者の歩行が確認されると図 17に示すベイジアンネットワークとなり、患者状態は良好(Good)であるため、患者状態(PAT)にGoodが設定される。同様に治療計画から治療内容の複雑さ(METH)は標準(Standard)であり、スタッフのスキル(SKLL)を標準(Standard)に設定すると患者リスク(RISK)を示すベイジアンネットワークは図 18となる。次に患者の蛇行(ふらつき)が検知されると図 19に示す様に患者ふらつきのエビデンスが設定される。しかし、患者状態が低(Low)と判断するしきい値を0.7とすると患者状態が低(Low)の確率値(PAT)は0.5384なので、患者リスク(RISK)算出用ベイジアンネットワークの患者状態に患者低(Low)のエビデンスは設定されない。
図 16患者の状態(PAT)算出用ベイジアンネットワーク(初期状態)
図 17 患者の状態(PAT)算出用ベイジアンネットワーク(患者の歩行確認)
図 18 患者支援度(RISK)算出用ベイジアンネットワーク
しかし、あらかじめ、図 19の患者パフォーマンスステータス(Pstus)がLowであることが認識されていれば、図 20に示す様に患者状態が低(Low)の確率値は0.8860となり、しきい値の0.7を越えるため、患者リスク(RISK)算出用ベイジアンネットワークの患者状態に患者低(Low)のエビデンスが設定され、図 21に示す様に患者リスク(RISK)は0,823となり、3秒ルールインテリジェンスは患者支援の意思決定を行う、そして3秒ルールインテリジェンスの意思決定は医療スタッフの意思決定に近いプロセスにより行われている。
図 19 患者の状態(PAT)算出用ベイジアンネットワーク(患者のふらつき確認
図 20 患者の状態(PAT)算出用ベイジアンネットワーク(患者のふらつきとパフォーマンスステータス(Pstus)がLowを確認)
図 21 患者支援度(RISK)算出用ベイジアンネットワーク(患者状態Low)
6. 考察とまとめ
本研究は3秒ルールインテリジェンスによる患者様子見行動が可能であることを示し、患者様子見行動の自動化の可能性を示した。患者様子見行動に於ける意思決定とは医療スタッフが患者支援行動を取るか、取らないかである。本研究では患者支援行動の発現確率を患者リスクと定義して、患者リスクがあるしきい値を超えた場合に、3秒ルールインテリジェンスは患者支援行動の意思決定を行う。3秒ルールインテリジェンスは患者リスクをベイジアンネットワークにより算出する。ベイジアンネットワークでは事実が確認されるとエビデンスが設定される。そこで、3秒ルールインテリジェンスは初めに、環境監視により、行動選択トリガが検知されるとベイジアンネットワークにエビデンスを設定して、患者リスクの計算を行う。行動選択トリガとは環境情報の重要性を心理的次元で配置したものの中で最優先位置にあるものであり、行動選択を左右する要因である[9]。本研究では、行動選択トリガをヒヤリハット情報から収集しており、行動選択トリガには医療スタッフの経験に基づく心理的な重み付けが反映されている。従って、3秒ルールインテリジェンスは人の感覚に近い視点で環境監視を行うことが可能である[11]。しかし、今回は患者蛇行(ふらつき)のトリガ検知は手動で行ったため、今後、トリガの自動検知が必要である。更に、本研究は患者支援行動の必要性を時系列的な数値で示すため、行動選択の根拠が明確であり、環境の変化と意思決定の経緯を数字で記録することできる。今後、人的感覚を持つ環境評価機能が実現すれば、病棟やICUでの患者監視の自動化が可能となる。例えば、病棟スタッフは、複数の患者の状態を同時に監視して、適切な患者対応行動を行っている。そこで3秒ルールインテリジェンスによる人的感覚を持つ患者様子見機能が実現すれば、対応の緊急度を自動的に判断することが可能となり、経験の少ない医療スタッフでも対応の優先順位を即時に知ることができ、余裕のある患者対応が実現する。更に、熟練スタッフが観察している要素を、行動選択トリガデータベースに追加できれば、3秒ルールインテリジェンスは熟練スタッフに近い意思決定を行うことが可能となり、更に意思決定に至ったエビデンスを示すことができるため、意思決定の根拠を明確に示すことができ、信頼できる汎用人工知能(GAI: General Artificial Intelligence)への展開が期待できる。今後、実現が求められる汎用人工知能は判断根拠を示すことが求められており、本研究はGAI実現の可能性をも示した[16]。
謝辞
本研究はJSPS科研費 20K11983の助成を受けた。
本研究に助言と貴重な情報を頂いた広島国際大学の橘昌幸教授と九大病院の福永淳一先生に感謝申し上げる。
参考文献
[1]持田 信治,池添 律代,矢鳴 虎夫:"判断マトリクスを使用した内部状態モデル構築に関する研究",バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 6 巻 1号,10-16,(2004)
[2]持田 信治,橘 昌幸:"人の観点から見た環境評価に関する研究",BMFSA学会誌 VOL11 NO.2 PP.25‐31
[3] エリック.R・カンデル,記憶のしくみ
[4]松本元・大津展之:「神経細胞の生物学的特性」,培風館,(1992)
[5]伊藤薫:「脳と神経の細胞学」,培風館,(1975)
[6]Armand M.de Callatay,島田禎晉訳:「人間の脳と人工知能」,丸善株式会社,(1991)
[7] 小林春雄他:「神経情報生物学入門」,オーム社,(1990)
[8] 「IBMが2nm半導体プロセスの試作成功、研究トップに聞く「ムーアの法則」の将来」, 日経クロステック,2021年5月13日
[9] リンゼイ/ノーマン:「情報処理心理学入門Ⅰ(感覚と知覚]」,サイエンス社,1984
[10] リンゼイ/ノーマン:「情報処理心理学入門Ⅱ(注意と記憶]」,サイエンス社,1984
[11] 持田 信治:「3秒ルールAI実現に関する研究」,日本経営システム学会第62回全国研究発表大会講演論文集,138-139, 2019
[12]牧下寛,松永勝也:「自動車運転中の突然の危機に対する制動反応の時間」,人間工学,38巻6号 pp.324-332,2002
[13]山下昇:「車間距離より車間時間を取ろう」,セイフティエクスプレス企業開発センター,6月号,2008
[14] 藤田一弥:「見えないものをさぐる それがベイズ」,オーム社,2015
[15] 持田 信治:「3秒ルーインテリジェスを用いた患者様子見行動の模擬に向けた基礎研究」,BMFSA2020年次大会予稿集,pp.150-153,2020
[16]「人間中心のAI社会原則の草案,人間中心のAI社会原則検討会議」,内閣府,2018年12月
著者氏名(ふりがな)
現職○○大学○○学部○○科
略歴

プロジェクトリスクの推定
ヒット: 1 開く 保存
状況
プロジェクトが計画通りに終了するかどうかの不確実な状況において、スタッフからの進捗報告というエビデンスが存在する。
行動
ベイジアンネットワークを用い、プロジェクトの遅延確率(リスク)を条件付き確率テーブルに基づいて計算した。
結果
スタッフからの「計画通り」という報告(エビデンス)を反映させることで、プロジェクトが計画通りに終了する確率が0.9から0.95へと更新され、状況の変化を確率的に導出できた。
詳細 (BODY) を表示
詳細コンテキスト
【分析:状況】
プロジェクトが計画通りに終了するかどうかの不確実な状況において、スタッフからの進捗報告というエビデンスが存在する。
【分析:行動】
ベイジアンネットワークを用い、プロジェクトの遅延確率(リスク)を条件付き確率テーブルに基づいて計算した。
【分析:結果】
スタッフからの「計画通り」という報告(エビデンス)を反映させることで、プロジェクトが計画通りに終了する確率が0.9から0.95へと更新され、状況の変化を確率的に導出できた。
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【本文】
1. 研究目的
本研究は人を支援できるマルチモーダルAIを提案する。マルチモーダルAIは環境条件と目的に沿って自律的に意思決定のできるAIであり、経験情報に基づく判断を行う。人の経験情報は様々な属性のデータと情報から構成される。特に人の経験は目的と意思決定に伴う結果を持つ。人は過去の経験から意思決定に伴う結果を評価を行い、意思決定を行う。従って意思決定には判断、行動と結果の評価が必要である。マルチモーダルAIの実現に向けてはまず、マルチモーダルデータを扱うデータベースの実現が必要であり、マルチモーダルデータとは音声、画像、テキストと各種環境情報である。現在、多くの場面でのAI(人工知能)利用が進んでいる。しかし、多くの人工知能では意思決定の根拠を明確に示すことができず、信頼できる人工知能となっていない。そこで、意思決定の根拠を明確に示すことができる汎用人工知能(GAI: General Artificial Intelligence)の実現が求められている。しかし、人の意思決定は必ずしも論理的に行われている訳ではなく、人の意思決定は環境の変化と時間の推移に従い、ゆらいでおり、信頼できる人工知能は人の意思決定の揺らぎを理解することが求められる。そこで、本研究は3秒ルールインテリジェンスによる意思決定支援を試みた。3秒ルールインテリジェンスは現在状況を理解して、微小時間後の状況を予測して意思決定を行う人工知能であり、微小時間後の行動候補の出現確率を算出して、行動候補の出現確率を行動選択確率と定義して意思決定を行う。
本研究での微小時間とは3秒である。行動候補の出現確率の算出はベイジアンネットワークにより行う。ベイジアンネットワークは、子ノードの条件付き確率テーブルに確率値を設定することにより、親ノードが示す事象の発現確率を算出する。ベイジアンネットワークは信念ネットワークとも呼ばれ、条件付き確率テーブル上の確率値を主観的に設定することにより、人の主観を確率値として計算に反映可能である。ベイジアンネットワークでは事実が観察される度にエビデンスが設定され、確率計算が再実行されるため、確率値の初期値は曖昧でも構わない。3秒ルールインテリジェンスは環境変化に伴い、事実が観察される度に行動の選択確率の再計算を行う。そして、行動選択確率があるしきい値を越えた場合に、行動選択の意思決定を行う。本研究での意思決定とは患者への支援行動を行うか保留するかである。一方、人の意思決定の揺らぎは人の価値観の揺らぎに起因しているため、3秒ルールインテリジェンスの更なる展開は人の価値観の揺らぎのメカニズム解明につながる。そこで、本研究は3秒ルールインテリジェンスの医療分野への適応を試みた結果、3秒ルールインテリジェンスによる医療スタッフの意思決定の模擬の可能性を示した。具体的には、ベイジアンネットワークにより算出された確率値を患者リスクと見なし、患者リスクがあるしきい値を越えると、3秒ルールインテリジェンスは患者への支援行動選択の意思決定を示し、意思決定は医療スタッフの判断に近いものであった。人工知能が人の意思決定の揺らぎを理解できれば、信頼できる人工知能が実現する。
2. 患者様子見の自動化
現在、医療現場では、患者確認に於けるダブルチェックや手順の標準化が進められている[1]。しかし、例外的な事象が起きた場合の対応は人の判断に頼らざるを得ず、高度な判断できる熟練医療スタッフが求められている。加えて、医療現場では近年、安全監視と記録業務が増加しており、医療スタッフの時間的余裕が減少して、ストレスの高い職場となっている。そこで、本研究は3秒ルールインテリジェンスによる放射線治療現場に於ける患者様子見行動の自動化を目指す[2]。患者への様子見行動とは不安定な患者の事故防止のための、医療スタッフによる患者観察行動であり、様子見行動はスタッフがある一定時間、患者への対応行動を保留して、患者リスクの発現を観察する行動である。患者リスクとは患者に関する事故発現等で、患者治療の障害となる要因である。患者様子見行動は患者が治療室に移動する場合や、治療中に行われる。治療中は患者の動作が限定的であるため、人工知能が患者を観察できれば、スタッフの業務軽減が図れる。更に治療室内での患者観察を自動化できれば、スタッフは次の業務の準備作業等が可能となり業務に余裕が生まれ、安全な医療が実現する。患者様子見行動は患者を含む状況判断とスタッフの経験により行われるため、患者様子見行動の自動化には人工知能への人の経験の反映が必要である。
3. 3秒ルールインテリジェンス
3.1 人の応答速度と行動選択
3秒ルールインテリジェンスは、人と同じプロセスで意思決定を行う人工知能であり、人の脳で行われる意思決定を模擬する。人の大脳内には神経細胞(ニューロン)が約100億個あり、脳全体の神経細胞は1000億個あるとされる[3]。神経細胞は核と樹状突起と信号伝送路に当たる軸索から構成され、樹状突起は信号入力をつかさどる受容体を持つ(図 1参照)。神経細胞間の信号伝達はシナプス間隙において行われており、1つの神経細胞は数千以上のシナプスを持つとされる。シナプスとは神経細胞同士の接続部分のことであり、特定の信号がシナプス前部に積み重なるとシナプスに於いて信号伝達が行われる。シナプス間隙上の信号伝達は科学物資の量と組み合わせで表現されるため、各シナプスは高度な情報処理を行っていると考えられる。シナプスは人では10兆個あるとされ、10兆個のシナプスの結合により経験が記録され、外部刺激により状況判断と行動発現がなされる[4]-[7]。ニューロン内の伝達速度は概ね、1m/秒から100m/秒である。一方、最近のCPU(中央処理演算装置)は約100億程度のトランジスタ(7nm製造プロセスの場合)で構成され、3Ghz(1秒間に30億回の振動数)程度で動作する[8]。人の神経細胞の動作速度はCPUに比べて低速であるにも拘わらず、人が高度な行動選択できる理由は、脳は並列に状況判断を行い、微小時間後に実行可能な行動候補を用意しているからであると考えられる[9][10]。本研究では、微小時間を3秒とする。従って、慣れた行動は3秒以内に行動候補として直ちに用意されるのに対して、不慣れな行動候補は遅れて用意されるため、行動の慣れが発生する。そして優先順位が均衡する複数の行動候補が並列に用意されている状態が迷いであり、遅れて行動候補が準備され、行動選択が混乱する状態が後悔である。
図 1 神経細胞
3.2 人の行動予測と3秒ルールインテリジェンス
人は行動選択に当たって、微小時間周期で次に実行可能な行動候補を選び出して、行動選択を行っており、行動候補は過去の経験と知識から選択される[9][10]。本研究での微小時間は3秒である。そこで、3秒ルールインテリジェンスは3秒後に実行可能な行動候補を人の経験から収集することにより、人と同じプロセスによる行動選択が実現する。3秒ルールインテリジェンスは経験データベース、行動選択トリガデータベース,行動出現確率計算(ベイジアンネットワーク)から構成される(図 2参照)。3秒ルールインテリジェンスは3秒後に実行可能な行動候補の準備を行い、行動選択トリガの観察により行動選択を行う。行動選択トリガとは環境情報を心理的次元で配置したものの中で最優先位置にあるものであり、行動選択を左右する要因である[9]。心理的な重み付けをした行動選択トリガ観察は行動の概念駆動型処理を可能とする[10]。3秒ルールインテリジェンスは経験データベースから現状認識による情報を検索キーにして、3秒後に実行可能な行動候補を準備する。そして、ベイジアンネットワークにより、3秒後に実行可能な行動候補の優先順位を決定する。経験データベースは現在状況と行動実行による3秒後の状態から構成される遷移情報を持つ(図 3参照)。本研究では遷移情報をヒヤリハット報告やインシデントレポートから収集した。遷移情報は初期状況情報と3秒後の遷移情報を持ち、3秒間は人の行動選択の周期である。例えば、車両運行に於いて、人は3秒周期で、現在から3秒後までの遷移空間を構築することにより、運転操作における事故回避を行っている(図 4参照)。
図 2 3秒ルールインテリジェンスの構成
図 3 3秒間の遷移空間
図 4 運転操作における遷移空間
3.3 人の行動予測と3秒ルールインテリジェンス
人が、直ぐに行動判断ができるのは、人は微小時間後に到達可能な遷移空間を事前に構築して状況予測を行いながら、行動選択を行っているからである[11]。微小時間とは3秒である。例えば、車両運転に於いて、先行車との安全な推奨車間距は速度計の示す値から15を減じた距離である、例えば、時速60km/h の場合の推奨車間距は45mである。時速60km/hの車の速度は約17m/秒であるため、45m/17m≒3秒となり、推奨される車間距離を時間的に表すと約3秒となる[12]。一方、車両運転に於ける安全な車間距離を時間で表すと、2秒から3秒と言われており、車間距離が1.8秒を切ると人は不安を感じると言われている[13]。また、報告者のビジネスシステム開発の経験から、エンターキーを押した後のシステム応答時間が3秒以内であればシステム利用者は概ね良好な操作感を得る。しかしシステム応答時間が5秒を超えるとシステム利用者は不満を感じ、システム応答時間が10秒を超えるとシステム利用者はシステムに対する改善を要求するという状況からも、人は現時点から3秒後までの行動予測空間を構築しており、行動予測空間内で状況が進む場合には安心感を得ることができ、3秒後の状況が不確実になると不安やいらつきを感じる。従って、人は現時点から3秒後までの行動遷移空間を持って行動をしていると判断できる。
4.ベイジアンネットワークを用いた事象分析
ベイジアンネットワークとはある事象(親)と事象に関係する要因(子)との因果関係を有効グラフで表現したものであり、ベイジアンネットワークは親ノードと子ノードの因果関係を確率的な関係で表現しており、ベイジアンネットワークの親ノードは親(世界)が取りうる状況が発現する確率を表す。ベイジアンネットワークは信念ネットワークとも呼ばれ、条件付き確率テーブル上の確率値を主観的に設定することにより、人の主観を確率計算に反映できる。従って、条件付き確率テーブルに設定する確率値を主観的に設定することにより、ベイジアンネットワークは不確実な状況を表現することが可能である。そして子ノードの条件が確定することにより、親(世界)が取りうる状況の確率が計算される。子ノードの条件が確定することを、エビデンスをセットすると呼び、事実や状況が判明した場合には、子ノードにエビデンスが設定され、子ノードが親ノードに与える確率が決定する。以下にベイジアンネットワークを用いた計算例を示す。本例はプロジェクトが計画通りに終了する確率計算の例を示す。本例では条件付き確率とベイズ推定の式(1)を使用してプロジクトリスクを推定する。プロジクトリスクとは、プロジェクトが計画通りに終了しない確率、つまりプロジェクトの遅延確率である。以降、プロジェクトリスクとはプロジェクトの遅延確率であるとする。プロジェクトの遅延が発生すると費用超過や契約違反となり、費用的な損害が発生する。
A:親(世界)が取りうる状況に対する確率  
B:子供(世界を説明する条件)を示す確率
本例ではプロジェクトが計画通りに終了する確率とスタッフからのプロジェクトの進捗に関するレポートの信頼性との関係を考える、プロジェクトが​計画通りに終了する確率をA、そしてスタッフからの進捗に関するレポートの信頼性を示す確率をBとする。ここで、A=0.9、B=0.7とすると、プロジェクトが実行される世界の確率状況は図 5となる。ベイジアンネットワークはある事象が取りうる世界の確率的関係を示し、エビデンスが設定されると世界が変化する。
図 5 報告を受ける前の世界確率の図
次に機械学習システムのWeka (Waikato Environment for Knowledge Analysis) [14]を使用してプロジェクトが実行される世界の確率状況を表現した様子を図 6に示す。図 6、図 7と表 1、表 2はWeka上のProjectノードとReportノードに確率を与えている様子を示す。一般的にプロジェクトは10%程度遅延することが知られているため、表 1と図 6に示す様にプロジェクトが計画通り終わる確率は0.9に設定している。ただし、Wekaのベイジアンネットワーク表示では確率0.9は9000、そして確率0.7は6599と表示されている。
表 1 Weka上のProjectノードの条件付き確率
表 2 Weka上のReportノードの条件付き確率
図 6プロジェクトのベイジアンネットワーク表示
図 7 ProjectとReportノードの条件付き確率テーブルに確率値を与えている様子
次に、表 3と図 8はスタッフによりプロジェクトの進捗は計画通りと報告された後のプロジェクトの実行世界を示しており、Aの確率は式(2)に示す通り0.95となる。図 9はWekaで確率を計算した様子を示す。本例でのエビデンスはスタッフによるプロジェクトの進捗は計画通りとの報告である。ベイジアン推定ではエビデンスと呼ばれる状況報告が与えられることにより、確率世界が変化する。
表 3 報告を受けた後の世界確率(抹消線の世界が削除された状態)
図 8報告を受けた後の世界確率の図
(網掛けの部分の世界が消えた)
(2)
図 9 報告を受けた後のベイジアンネットワーク表示
5. 患者様子見行動と患者対応行動の発現
5.1患者リスクの評価
医療現場では、安全のために患者確認に於ける2重チェックや手順の標準化が進められている[15]。しかし、例外的な事象が起きた場合の対応は人の判断に頼らざるを得ず、熟練医療スタッフの経験に基づく対処が求められる。そこで、本研究は熟練医療スタッフに近い状況判断機能の実現を目指して、3秒ルールインテリジェンスを放射線治療現場に応用した。表 4に放射線治療における環境要因と内容を示す。環境要因は医療スタッフからのヒアリングにより取得した。本研究では、ベイジアンネットワークにより算出した患者リスクにより、状況判断を行う。本研究では患者リスクとは患者に拘わる事故発生確率と定義して、患者リスクを患者への支援の必要性とみなす。従って、患者リスクが上昇すると患者への支援必要性が上昇することとなり、患者支援の必要性があるしきい値を越えると患者への支援が必要であるとの意思決定を行う。放射線治療装置は治療を行う機械であり、今後、治療環境に関する情報の取得を機械信号として取得することが可能であり、取得情報の精度向上が期待できる。
表 4 患者を取り巻く環境要因
5.2 患者対応行動の発現
患者への様子見行動とは不安定な患者の事故防止のための、医療スタッフによる患者観察行動のことである。図 10は医療スタッフが患者リスクを観察している状況を示しており、縦軸は患者リスクを示し、横軸は時間軸である。図 10に示す、患者が安全範囲の領域にある場合には、医療スタッフは患者を観察する必要のない状況であることを示し、例えば患者が検査に行っている状態である。次に患者が様子見状態にある場合には医療スタッフが患者を観察する必要がある状況であり、例えば患者が治療室内にいる状況である。そして、患者が支援必要の領域に入った場合には、患者リスクが高い状況であり、患者への支援が必要となる。例えば患者への支援行動として、患者への声掛けや治療中断がある。様子見行動は医療スタッフが患者への対応行動を保留して患者の様子を観察する行動であり、人工知能が患者を観察できれば、医療スタッフの業務軽減が図れる。そこで、本研究は医療スタッフの患者への様子見行動の模擬を目指して、3秒ルールインテリジェンスの放射線治療への適応を試みた。ベイジアンネットワークの親ノードが示す確率値は医療スタッフ経験に基づく患者リスク値を示している。本研究では、ベイジアンネットワークにより算出された患者リスク値は3秒後の患者支援行動の必要度合いを示しており、環境要因の変化に従い、ベイジアンネットワークの再計算を実行する。ベイジアンネットワークが示す患者リスクは患者支援行動の必要度合いを示し、患者支援行動の必要度合いがあるしきい値を越えた場合には患者への支援行動が必要となる。図 11に本研究で設定したベイジアンネットワークを示す。図 11中の略称は表 4の通りであり、表 5から表 9はベイジアンネットワークの各ノードに設定した条件付き確率テーブルの値を示している。本研究において、3秒ルールインテリジェンスに与えたベイジアンネットワークの条件付き確率テーブルの設定は医療スタッフへのヒアリングに基づいていており、医療スタッフの経験値を反映している。図 11に示す通り、患者の支援が必要と支援不要の初期値は共に0.5である。そして、図 11が示す確率値の計算要領を図 12に示す。例えば、図 11のSKILのHigh値は0.4であり、計算要領は以下の通りである。
0.5(TREAT)×0.1(支援必要 High)=0.05
0.5(WATCH)×0.7(支援不要 High)=0.35
0.05+0.35=0.4 SKIL(High)
但し、図 11の同値は0.399と表示されている。
図 10 状況判断
図 11 患者リスク(RISK)算出ベイジアンネットワーク
表 5 患者支援モデルのテーブル例
親テーブル(RISK)
表 6 条件付き確率テーブル(SKIL)
表 7 条件付き確率テーブル(PAT)
表 8 条件付き確率テーブル(METH)
表 9 条件付き確率テーブル(ENV)
図 12 ベイジアンネットワークの計算例
5.3環境評価試験
 3秒ルールインテリジェンスの経験データベースは経験ルールを持ち、経験ルールはヒヤリハット情報から収集した。経験ルールは3秒間の時間的状態遷移に伴う初期状態と3秒後の後状態と発現した発生事象を持つ(図 13参照)。更に経験ルールには行動選択トリガが記述されている(表 10参照)。行動選択トリガとは環境変化を検知するための情報である。環境監視下で、行動選択トリガが検知されると該当する経験ルールが選択され、ベイジアンネットワーク中の指定された要素にエビデンスが設定される。
図 13 ヒヤリハットデータ(一部)
例えば患者の蛇行(ふらつき)が検知された場合には、患者状態が悪いことを示すエビデンスがベイジアンネットワークに設定される(図 14、図 15参照)。具体的には、患者リスク値(RISK)の初期値は図 14の通り、0.5であり、患者への支援必要性は不明であることを示している。そして患者の蛇行(ふらつき)が検知されると、患者の状態が悪いことを示すエビデンスがベイジアンネットワークに設定され、患者リスク値が0.83となり、患者への支援が必要なしきい値が0.7であるとすると、患者への支援が必要との意思決定がなされる(図 15参照)。
表 10 エビデンス設定時のトリガ情報
図 14 初期状態のRISK算出ベイジアンネットワーク
図 15 患者(PAT)が悪い(LOW)エビデンスの設定後
5.3.環境の評価の自動化
 3秒ルールインテリジェンスを用いた患者様子見行動の自動化のためにはエビデンスの自動設定が必要である。そこで本研究では図 11に示す各要素の確率値を更に計算するための表 11に示す様にベイジアンネットワークを設定した。表 11に示す様に確率算出のための要素を細分化することにより、自動的にエビデンスを設定することが可能となる。例えば、患者状態(PAT)を算出する1つの要素の患者搬送状態(Trsus)が取る、歩行か、車椅子かストレッチャーかは自動的に設定できる。
表 11 各要素に確率値を与えるベイジアンネットワークのテーブル構造
例えば、表 11中の患者の状態算出用テーブル(PAT)の確率値を算出するベイジアンネットワークを図 16に示す。そして、患者の歩行が確認されると図 17に示すベイジアンネットワークとなり、患者状態は良好(Good)であるため、患者状態(PAT)にGoodが設定される。同様に治療計画から治療内容の複雑さ(METH)は標準(Standard)であり、スタッフのスキル(SKLL)を標準(Standard)に設定すると患者リスク(RISK)を示すベイジアンネットワークは図 18となる。次に患者の蛇行(ふらつき)が検知されると図 19に示す様に患者ふらつきのエビデンスが設定される。しかし、患者状態が低(Low)と判断するしきい値を0.7とすると患者状態が低(Low)の確率値(PAT)は0.5384なので、患者リスク(RISK)算出用ベイジアンネットワークの患者状態に患者低(Low)のエビデンスは設定されない。
図 16患者の状態(PAT)算出用ベイジアンネットワーク(初期状態)
図 17 患者の状態(PAT)算出用ベイジアンネットワーク(患者の歩行確認)
図 18 患者支援度(RISK)算出用ベイジアンネットワーク
しかし、あらかじめ、図 19の患者パフォーマンスステータス(Pstus)がLowであることが認識されていれば、図 20に示す様に患者状態が低(Low)の確率値は0.8860となり、しきい値の0.7を越えるため、患者リスク(RISK)算出用ベイジアンネットワークの患者状態に患者低(Low)のエビデンスが設定され、図 21に示す様に患者リスク(RISK)は0,823となり、3秒ルールインテリジェンスは患者支援の意思決定を行う、そして3秒ルールインテリジェンスの意思決定は医療スタッフの意思決定に近いプロセスにより行われている。
図 19 患者の状態(PAT)算出用ベイジアンネットワーク(患者のふらつき確認
図 20 患者の状態(PAT)算出用ベイジアンネットワーク(患者のふらつきとパフォーマンスステータス(Pstus)がLowを確認)
図 21 患者支援度(RISK)算出用ベイジアンネットワーク(患者状態Low)
6. 考察とまとめ
本研究は3秒ルールインテリジェンスによる患者様子見行動が可能であることを示し、患者様子見行動の自動化の可能性を示した。患者様子見行動に於ける意思決定とは医療スタッフが患者支援行動を取るか、取らないかである。本研究では患者支援行動の発現確率を患者リスクと定義して、患者リスクがあるしきい値を超えた場合に、3秒ルールインテリジェンスは患者支援行動の意思決定を行う。3秒ルールインテリジェンスは患者リスクをベイジアンネットワークにより算出する。ベイジアンネットワークでは事実が確認されるとエビデンスが設定される。そこで、3秒ルールインテリジェンスは初めに、環境監視により、行動選択トリガが検知されるとベイジアンネットワークにエビデンスを設定して、患者リスクの計算を行う。行動選択トリガとは環境情報の重要性を心理的次元で配置したものの中で最優先位置にあるものであり、行動選択を左右する要因である[9]。本研究では、行動選択トリガをヒヤリハット情報から収集しており、行動選択トリガには医療スタッフの経験に基づく心理的な重み付けが反映されている。従って、3秒ルールインテリジェンスは人の感覚に近い視点で環境監視を行うことが可能である[11]。しかし、今回は患者蛇行(ふらつき)のトリガ検知は手動で行ったため、今後、トリガの自動検知が必要である。更に、本研究は患者支援行動の必要性を時系列的な数値で示すため、行動選択の根拠が明確であり、環境の変化と意思決定の経緯を数字で記録することできる。今後、人的感覚を持つ環境評価機能が実現すれば、病棟やICUでの患者監視の自動化が可能となる。例えば、病棟スタッフは、複数の患者の状態を同時に監視して、適切な患者対応行動を行っている。そこで3秒ルールインテリジェンスによる人的感覚を持つ患者様子見機能が実現すれば、対応の緊急度を自動的に判断することが可能となり、経験の少ない医療スタッフでも対応の優先順位を即時に知ることができ、余裕のある患者対応が実現する。更に、熟練スタッフが観察している要素を、行動選択トリガデータベースに追加できれば、3秒ルールインテリジェンスは熟練スタッフに近い意思決定を行うことが可能となり、更に意思決定に至ったエビデンスを示すことができるため、意思決定の根拠を明確に示すことができ、信頼できる汎用人工知能(GAI: General Artificial Intelligence)への展開が期待できる。今後、実現が求められる汎用人工知能は判断根拠を示すことが求められており、本研究はGAI実現の可能性をも示した[16]。
謝辞
本研究はJSPS科研費 20K11983の助成を受けた。
本研究に助言と貴重な情報を頂いた広島国際大学の橘昌幸教授と九大病院の福永淳一先生に感謝申し上げる。
参考文献
[1]持田 信治,池添 律代,矢鳴 虎夫:"判断マトリクスを使用した内部状態モデル構築に関する研究",バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 6 巻 1号,10-16,(2004)
[2]持田 信治,橘 昌幸:"人の観点から見た環境評価に関する研究",BMFSA学会誌 VOL11 NO.2 PP.25‐31
[3] エリック.R・カンデル,記憶のしくみ
[4]松本元・大津展之:「神経細胞の生物学的特性」,培風館,(1992)
[5]伊藤薫:「脳と神経の細胞学」,培風館,(1975)
[6]Armand M.de Callatay,島田禎晉訳:「人間の脳と人工知能」,丸善株式会社,(1991)
[7] 小林春雄他:「神経情報生物学入門」,オーム社,(1990)
[8] 「IBMが2nm半導体プロセスの試作成功、研究トップに聞く「ムーアの法則」の将来」, 日経クロステック,2021年5月13日
[9] リンゼイ/ノーマン:「情報処理心理学入門Ⅰ(感覚と知覚]」,サイエンス社,1984
[10] リンゼイ/ノーマン:「情報処理心理学入門Ⅱ(注意と記憶]」,サイエンス社,1984
[11] 持田 信治:「3秒ルールAI実現に関する研究」,日本経営システム学会第62回全国研究発表大会講演論文集,138-139, 2019
[12]牧下寛,松永勝也:「自動車運転中の突然の危機に対する制動反応の時間」,人間工学,38巻6号 pp.324-332,2002
[13]山下昇:「車間距離より車間時間を取ろう」,セイフティエクスプレス企業開発センター,6月号,2008
[14] 藤田一弥:「見えないものをさぐる それがベイズ」,オーム社,2015
[15] 持田 信治:「3秒ルーインテリジェスを用いた患者様子見行動の模擬に向けた基礎研究」,BMFSA2020年次大会予稿集,pp.150-153,2020
[16]「人間中心のAI社会原則の草案,人間中心のAI社会原則検討会議」,内閣府,2018年12月
著者氏名(ふりがな)
現職○○大学○○学部○○科
略歴