フィジカルAIの実現に向けて

(概要)本研究は、人と共に過ごすフィジカルAIの実現に向け、人の「知識」と「経験」を記録して動作する経験ベース・目的指向のフィジカルAIを提案します。 従来の1/100秒単位で制御するロボットプログラムは「目的」がなく、動作状況が追加される度に、プログラムを追加するつぎはぎのプログラムであり、永久にプログラムは完成しません。一方、本提案は制御プログラムを持たず、目的に応じて経験を組み合わせて行動するため、人と行動目的と知識や経験を共有して人と円滑に協働・行動ができます。

(詳細)本開発は複雑で刻々と変化する環境に対応するフィジカルAIの実現を目指します。具体的には、従来の断片的なプログラムを繋ぎ合わせたロボットプログラムと決別をして、経験と知識を基本にしたフィジカルAIを構築します。「知識」と「経験」の違いは図1に示す通り、目的達成のための必要時間の違いであり、「知識」は目的達成への戦略を与え、目的達成時間は数分から数日、そして「経験」は直近の動作手順を与え、目的達成時間は数秒から数時間です。つまり、「知識」と「経験」からは数分から数日にわたる行動手順を得ることができます。

「制御」の処理サイクルは100分の1秒であり、本フィジカルAIは「知識」と「経験」をもとにして情報処理時間を人の時間に近づけます。本フィジカルAIは全ての感覚(モダリティ)と行動を一度、LLM(Large Language Model)を用いて言語化した後、「言語」から「知識(戦略)」と「経験(戦術)」を抽出して、抽出した「知識」と「経験」を一元的に構造化して図2に示す「フィジカルAI」の実現をします。

図1 知識、経験、制御の時間サイクル

図2 フィジカルAI

以下のプロトシステムはLLMを使用して資料から「知識」と「経験」を抽出した例を示します。知識は目的、状況、行動、結果から構成されます。プロトシステム(例はトヨタ」で検索した結果)。更に、図3に画像から経験を抽出した例を示します。経験は状況、行動、結果から構成されます。プロトシステム(例は「加速」で検索した結果)。例では車を40Km/hから50km/hに加速するための行動が示されています。

図3 車の走行に関する画像

図4は画像から状況、行動、結果から構成された経験を抽出した様子を示します。プロトシステム(例は「上昇」で検索した結果)。本例ではドローンが3秒で30m上昇するための行動が示されています。

図4 ドローンの飛行に関する画像

以下に資料(知識)を検索するプロトシステムを示す。

以下にプロトシステムが扱う検索データの例を示します。

(概要)フィジカルAIは人と共に行動する必要があります。そこで、本研究は人の「知識」と「経験」を記録して動作する経験ベースのフィジカルAIの実現を提案します。経験ベースのフィジカルAIは従来の100分の1秒で制御を行うロボットと決別をします。人の行動には必ず、目的があります。従来のパッチワーク的なロボットプログラムには目的がないので、つぎはぎのプログラムとなり、永久にプログラムは完成しません。経験ベースのフィジカルAIには制御プログラムはなく、目的に従い、経験を組み合わせて行動をします。知識と経験を人と共有する目的指向のフィジカルAIは人と共に行動することができます。